HOME > 過去の大賞作品

過去の大賞作品

ここでは歴代の大賞作品をコメントと共にご紹介します。

第8回大賞受賞作品(2007年)

遊(カンケリ-II)
土屋 明智(46歳) Akitomo Tsuchiya (長野県)
「壁」162.1×162.1cm 油彩

 
 物理的な壁、経済的な壁、民族、国家、言語、文化の壁、世代や性、身体機能、無知や不理解、自身の中の乗り越えられない何か。様々な壁を「嘆きの壁」のイメージを借りて描きました。新聞紙は私たちの日常の象徴です。社会問題を訴えると言うよりも、一個人の立場から壁に囲まれた日常を生きて行かざるを得ない人間の実存を表現したいと思いました。そうした日常を黙々と生きる人々の善意や祈りや希望を、壁を越えて昇って行く風船に託したと言ったところでしょうか。
 

第7回大賞受賞作品(2004年)

水哉(みずなるかな)
橋口 徳次(48歳) Noritsugu Hashiguchi (大阪府)
「水哉(みずなるかな)」162.1×162.1cm アクリル、油彩

 
 言葉でも絵画でも、人に伝えるのはとても難しいことです。誤解が生じることが多いからです。今回の作品は今まで以上に苦しみ、辛い思いをいだきながら制作しました。今の自分の限界を感じながら一筆一筆進めていきました。まあ、この最後の作業がとてつもなく楽しいのですが・・・。
 普通の道路地図には線さえも載っていない川です。その日曇天だったせいもあるのでしょう、少し暗い川のように思いました。その流れは、妙に心にひっかかりました。今後も表現としての風景画を描き続けるつもりです。
 

第6回大賞受賞作品(2002年)

密室の中の会談(1)
四宮 金一(64歳) Kinichi Shinomiya (香川県)
「密室の中の会談(1)」162.1×162.1cm アクリル、寒冷紗

 
 このところ毎日重苦しく暗いニュースばかりで、これから先が本当に思いやられる感じです。前途の明かりはいつ見えて来るのだろう等と考えながら制作に取り組んでいるのだが、ますます谷底に落ちて行く感じさえします。ところで今回取り組んだテーマは現代社会の中に生じているさまざまな出来ごと(政治、経済、教育)、そして生活の未来に対する不安を一齣、一齣に区切りボックスと机、椅子に置き換え、私なりに表現したのが「密室の中の会談(1)」である。
 

第5回大賞受賞作品(2000年)

生命都市シリーズ2000 丘の向うⅠ
小山 佐敏(47歳) Satoshi Koyama (埼玉県)
「生命都市シリーズ2000 丘の向うⅠ」130.3×162.1cm 油彩

 
 幼少の頃、熟した柿を求めて、大きな柿の木のてっぺんまで登った。ところが枝が折れて落ちた事がある。幸い、すぐ下にいた子の腕の上に止まって命拾いした。現代社会に於いても同じ事が起こっているのではないだろうか。目の前の餌に皆んなで寄ってたかって食べ尽くそうとする。社会全体が同じ事をする現状を見ていて、ふとそんな事を思った。政治も経済も教育も、このままで良いのだろうか。もし解らないとしたら、現状の社会は幼児社会と言わざるを得まい。そんな事を考えながら今回の作品が出来た。
 

第4回大賞受賞作品(1998年)

URBAN-II
平松 賢太郎(30歳) Kentaro Hiramatsu (東京都)
「URBAN-Ⅱ」162.1×162.1cm アクリル

 
 その時代の風景は、その時代を生きる者の姿であり、求められる景色である。都市の発展は人間の力強いエネルギーの現れで、そのエネルギーがいろいろな形で人を動かしている。しかし、都会では通り過ぎる人も、建築物も、同じ風景の一つに過ぎない。人は孤独であり、「個」であることに気付く。そして、お互い干渉し合わない事で自由と個性を守っている。
 

第3回大賞受賞作品(1996年)

黙(芽ぶき)
椿野 浩二(44歳) Koji Tsubakino (兵庫県)
「黙(芽ぶき)」140.5×162.1cm 土、廃材、墨、パネル

 
 土と生活廃材で作品を制作し始めて約10年、土にせよ、廃材にせよ、私が今回の作品に使うまでに過ごして来た歴史がある。そんな力強い素材を、私は、歴史の証言者と見ています。黙して語らない素材に、メッセージとして、土の中に怒り、喜び、悲しみ、反省、などいろいろな出来事をぬり込め、その中から新たな生き方を考える。
 人類の新たな生命を芽ぶきに託しています。
 

第2回大賞受賞作品(1994年)

夢見る由希子
渡部 満(41歳) Mitsuru Watanabe (青森県)
「夢みる由希子」162.1×162.1cm 油彩、テンペラ

 
 御舟、ラファエロ、少女コミック、そして私の娘の由希子といった、不意にみれば、東洋と西洋、過去と現在、高貴と卑俗といった対立と捉えられがちな世界を混在させることによって生じる、アマルガムな世界を開くことが今回の作品の着想だった。作品として成立するのかという不安はあったが、しかし、御舟の空間は思ったよりも懐が深く、ラファエロを持ち込んでも、少女コミックを持ち込んでもびくともしなかった。あらためて「日本的」なるものの持つ異種交配の可能性に目を開かれた思いだった。「名作」そのものを描くと言う、多少、画家としては倒錯的な自分の仕事は、ボーダレスな仕事と認識している作者にとって、今回の「小磯良平」の名を冠した大賞の受賞は不意を打たれた思いだったが、混迷の中で日本の開国が意識される昨今であればこそ、このような作品が評価されたものと思っている。感謝に堪えない。
 

第1回大賞受賞作品(1992年)

遊(カンケリ-II)
久保 輝秋(36歳) Teruaki Kubo (福岡県)
「遊(カンケリ-Ⅱ)」162.1×162.1cm アクリル、油彩

 
 大地をテーマにしてもう7年になる。子供の頃からずっと土に親しみ、大地を友達として成長した。どろんこ遊びに始まり、ビー玉遊び、カンケリ・・・落し穴遊びに至るまで遊びと言えばすべて大地に結びつくものばかりだ。土の香りは私の作品の原点となっている。
 制作は、キャンバスの全面にただ大地だけを描くことから始まる。その大地を漠然と眺めているといつの間にか少年時代へと誘いこまれていくのである。
 今、私は極力作為的な態度で描くことは躊躇している。これが画家として良いことかどうかはこれから考えるとして、今は福岡という都市に生活して私の内部から湧きいづる大自然を素直に描きとめておきたい。